近年ものすごいスピードで変化していくビジネス。中国上海の日系企業も、日々変わり行くビジネスの変化への柔軟な対応が求められています。そんな変化に対応すべく、IT環境の活用はもはや必須ともいえます。IT環境も日々進化し、企業はその都度、柔軟に取り込み、更なるビジネスの発展につなげていくことが必要です。そんな中、近年話題となっているのが「サーバーの仮想化」です。PCサーバーの仮想化が大きな流れになろうとしています。すでに大企業における導入が広がりつつありますが、近い将来には企業規模の大小を問わず、一般的に利用されるようになっていくと予想されます。PCサーバーの仮想化技術は多様なOSやサーバーの機種にまたがって適用できる、汎用性の高い技術であるとともに、さまざまな問題の解決に利用することができます。サーバーの利用法についての考え方を根本的に覆す可能性すら秘めているのです。今回はサーバーの仮想化について紹介していきます。
「サーバーの仮想化」とは何か!?
物理的な1台のサーバー上で、複数の仮想的なサーバー(仮想サーバー)を運用することを「サーバーの仮想化」といいます。「サーバーの仮想化」では、専用の仮想化ソフトウェアによって物理サーバー上のプロセッサ・メモリといったリソースを複数に分割し、仮想サーバーに割り当てて使います。1台の物理サーバー上に複数のサーバーを集約できるため、管理のコストや負荷が削減できるメリットがあります。一方で、デメリットも存在するため注意が必要です。自社の運用に合った方法を選ぶようにしましょう。
ホスト型・ハイパーバイザー型
サーバー仮想化は利用する仮想化ソフトウェアによって、ホスト型・ハイパーバイザー型の2種類の手法に分類され、それぞれメリット・デメリットがあります。
この2種類の方式では、図に示したようにハードウェア・OS・アプリケーションの関係性が違っています。サーバー仮想化を行う場合は、この2種類の方法のメリット・デメリットを把握して希望に近い方を選ぶとよいでしょう。
ホスト型
ホストとなるOS上で仮想化ソフトウェアを使い、別のゲストOSを運用する方法です。たとえば既に利用中のWindows をホストOSとして、ゲストOSにMacを運用するといった例があげられます。
アプリケーションを採用するような手軽さでサーバー仮想化を実現できるメリットがある一方で、ゲストOSを動かすためにはホストOS自体の処理も必要なるため、ハイパーバイザー型と比べて処理速度が出にくいのがデメリットです。
ホスト型を実現する主な仮想化アプリケーションには、VMware Player・VMware Workstation・Oracle VirtualBoxなどがあります。
ハイパーバイザー型
処理速度が上がらないホスト型のデメリットを補い、近年主流となっている仮想化の手法がハイパーバイザー型です。この方式ではハードウェア上にハイパーバイザーと呼ばれる仮想化ソフトウェアを動作させ、ハイパーバイザーの上で複数のゲストOSを運用します。
既存のホストOSをそのまま利用できなかったり、専用の物理サーバーを用意する必要があったりするためホスト型と比較すると手軽には利用できないものの、ホストOSの処理を必要とせずハードウェアを直接制御できるため処理速度が向上します。なおハイパーバイザー型は、直接ハードウェア上で動作することから「ベアメタル(=bare metal)型」と呼ばれることがありますが、ハイパーバイザー型と意味は同じです。ハイパーバイザー型に必要な仮想化アプリケーションとしてVMware vSphereやXen、KVM、Hyper-Vなどがあげられます。
「サーバーの仮想化のメリット」
設置スペースを削減できる
「サーバーの仮想化」を行うことにより、物理サーバーを集約して仮想化できるため、物理サーバーの設置場所をまとめると共に省スペースを実現できます。さらに物理サーバーの台数を減らすことができるのでスペースだけでなく電力や管理リソースなどの面でもコスト削減を見込めます。小規模のオフィスを構える企業にとっては、わざわざスペースを確保する必要がなくなるため、その分スペースの有効利用が可能になり、サーバー導入のハードを下げることができます。
リソースを有効活用できる
例えば社内で部門ごと・部署ごとにサーバーを利用している場合、物理サーバー毎のCPUやメモリの使用率などは低くサーバーリソースが大量に余ることが多いものです。そこでこれらの物理サーバーを仮想化して1台の物理サーバーに集約することで、サーバーリソースの有効活用が実現できます。
新しいサーバーを速やかに用意できる
新しいサービスや業務ソフトを導入したり開発検証を進めたりと新しいサーバーの用意が必要なシーンはさまざま考えられます。その際、サーバー仮想化が実現できていれば、新しく物理サーバーを購入・設置するよりも安価かつ速やかに新サーバーの手配が可能です。
またサーバーの台数を増やしてシステムの負荷軽減・処理向上を実現するスケールアウトも、サーバー仮想化により手軽に行えるようになります。
BCP対策の実現
BCP(事業継続計画)とは、災害などの緊急事態において事業継続の方法などを取り決めておく計画のことです。サーバー仮想化の環境が整っていれば、仮想サーバーの情報を遠隔地にあるバックアップサイトにコピーすることで、速やかに同じ環境を手配することが可能です。仮に地震などの大災害が発生した際にも、これにより短時間で業務を再開できます。